開店直前に「体調が悪くて今日は行けません」と連絡が来た。店長は営業準備をしながら、空いた持ち場へ入れる人を探し、スタッフ全員へ連絡する——。こうしたときに迷いやすいのが、「休む本人が代わりを探すのか、店側が探すのか」という点です。この記事では、年次有給休暇、当日の急な欠勤、確定済みシフトの交代相談を分け、店舗で決めておきたい欠勤連絡のルールと実際に使える文章を紹介します。
特に年次有給休暇については、代わりを探すことを取得の前提にしない運用が大切です。当日の体調不良でも、具合の悪い本人へ長時間の連絡作業をさせるより、店側が共通の募集文と連絡先を使って対応した方が、誰が休んでも同じ流れで進められます。
アルバイトが休むとき、代わりは誰が探す?
一言で「休む」といっても、年次有給休暇の申請、当日の急な体調不良、私用による確定済みシフトの交代相談では状況が違います。ただし、最終的に誰が勤務し、どの体制で営業するかを決めるのは店舗側です。スタッフ同士の口約束だけで交代すると、必要な技術や権限を持つ人がいない、労働時間が長くなりすぎる、店長が変更を知らない、といった問題が起こります。
福井労働局が公表した個別労働紛争解決制度の事例には、年次有給休暇を申し出た短時間労働者へ「代わりに出勤する人を見つけなければならない」と伝えたケースが掲載されています。事業主が、代わりを探すのは事業場であると所長へ伝えた結果、申出人が希望どおり年休を取得できたとされています。
本人には、分かった時点で連絡し、勤務日時・状況・復帰見込みなど必要な情報を伝える責任があります。一方、誰へ応援を頼むか、持ち場をどう変えるか、営業時間や予約を調整するかは、店側の管理として決めます。
まず「年休・当日欠勤・交代相談」を分ける
欠勤連絡の文面や手続きが一つしかないと、年休申請と当日の急病が同じ扱いになり、現場で誤解が生まれます。次の3つを分けて案内してください。

| ケース | 本人にお願いすること | 店舗側が行うこと | 避けたい状態 |
|---|---|---|---|
| 年次有給休暇の申請 | 決めた窓口・期限で申請 | 法令・就業規則に沿って確認し、人員を調整 | 代わりを見つけるまで申請できない |
| 当日の急な欠勤 | 分かった時点で、店の窓口へ必要事項を連絡 | 安全確認、不足確認、応援募集、営業調整 | 具合の悪い本人が何人にも連絡し続ける |
| 確定済みシフトの交代相談 | 理由が分かった時点で、決めた方法で相談 | 交代者の条件・労働時間を確認し、変更を承認 | スタッフ同士の口約束だけで交代 |
年休、急病、私用による交代相談を分けずに一律運用すると、年休取得の妨げや、体調不良者への過度な負担につながります。就業規則・雇用契約・会社の労務方針に合わせ、必要に応じて専門家や労働局へ確認してください。
店舗で決めておきたい欠勤連絡の7項目
「早めに連絡してください」だけでは、スタッフごとに時間と内容が変わります。新人へ初日に説明し、バックヤードや共有ページで見られるようにします。
店長個人だけでなく、店舗電話・当日責任者・連絡フォームなど受けられる窓口を決めます。
「分かった時点ですぐ」とし、始業直前しか連絡できない場合の連絡先も示します。
電話、チャット、フォームの優先順位と、既読が付かない場合の次の連絡先を決めます。
氏名、勤務日時、持ち場、出勤できない状況、復帰見込み、連絡可能な時間をそろえます。
当日責任者が共通文を送り、回答を一つの窓口へ集める形にします。
勤務時間、持ち場、資格・技術、連勤を確認できる人が最終決定します。
欠勤理由を広く共有せず、勤務変更と対応結果を必要な範囲で記録します。
本人と連絡が取れない場合に、いつ誰が緊急連絡先へ連絡するかを会社の方針として決めます。
- 氏名
- 休む勤務の日付・開始時刻・終了時刻
- 担当する予定だった持ち場
- 出勤が難しいことと、現時点の状況
- 次に連絡できる時間、または復帰見込み
病名や詳しい家庭事情をグループチャットへ書かせる必要はありません。応援を募るスタッフには、「本日10時〜15時のレジ担当が1名不足」のように、勤務の条件だけを伝えます。
当日の欠勤連絡を受けた後の5ステップ

氏名、勤務日時、担当、現時点で出勤が難しいこと、次に連絡できる時間を確認します。無理に詳しい事情を聞き出しません。
急病や事故などは本人の安全を優先します。その後、店側で空く時間・持ち場・必要人数を確認します。
日付、時間、持ち場、必要な経験、必要人数をそろえます。全部の時間へ一人を探さず、前半と後半に分ける方法もあります。
勤務可能な人だけに届く形が理想です。回答は店長個人LINEではなく、決めた窓口へ集めます。
代わりが決まったら、変更後の担当・時間・確定時刻を共有します。決まらない場合は、予約・提供内容・営業時間・配置を責任者が調整します。
より詳しい当日の動きは、急な欠員が出たときの5つの手順でも紹介しています。今回の記事は「誰が探すか」と「欠勤連絡のルール」、リンク先の記事は実際の欠員対応に重点を置いています。
そのまま使える欠勤連絡・返信・募集文
スタッフから店舗への連絡例
おはようございます。[氏名]です。 本日[日付]の[開始時刻]〜[終了時刻]、[持ち場]で勤務予定ですが、体調不良のため出勤が難しい状況です。 直前の連絡になり申し訳ありません。 [時刻]ごろに、明日以降の勤務について改めて連絡できます。
店舗から本人への返信例
連絡を確認しました。本日の勤務については店舗側で調整します。 まずは休養してください。 次回勤務について、[時刻/日付]までに現在の状況を[連絡先]へ知らせてください。 緊急の受診や安全に関わる状況がある場合は、必要な窓口への連絡を優先してください。
スタッフへ送る応援募集の例
【本日のシフト応援募集】 日付:[月日・曜日] 時間:[開始]〜[終了] 持ち場:[レジ/ホール/フロントなど] 人数:[ ]名 回答期限:[時刻] 勤務できる方は[回答先]へ連絡してください。 前半[時刻]まで、後半[時刻]からなど、一部の時間だけでも可能な場合は、その時間を記載してください。
代わりが決まった後の確定連絡
本日[日付]の[開始]〜[終了]、[持ち場]は[交代者名]さんの勤務で確定しました。 [必要な引き継ぎ]をお願いします。 シフト表は[更新日時]に更新済みです。関係する方は最新版を確認してください。
業種別に追加したい確認項目
| 業種 | 不足人数以外に確認すること | 代わりが見つからない場合の選択肢 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 調理・ホール・レジ、開閉店、食品衛生上必要な責任者 | 席数や予約枠の調整、提供メニューの一時限定、持ち場変更 |
| ホテル・旅館 | フロント、清掃、朝食、夜間、言語・設備対応ができる人 | 清掃順や客室販売の調整、他部署・系列施設への応援相談 |
| 美容室・サロン | 施術内容、指名、資格・技術、アシスタントの組み合わせ | 予約時間の変更、担当変更、メニュー時間の調整 |
| スーパー・小売店 | レジ権限、鍵、金銭管理、発注、品出し、開閉店担当 | レジ台数や作業順の調整、別売場・近隣店への応援相談 |
「入れる人が見つかった」だけで確定せず、その人の当日・週の勤務、休憩、連勤、担当できる仕事を責任者が確認してください。一度確定した労働日・時間の変更は、厚生労働省のシフト制に関する留意事項でも、基本的に労使双方の合意が必要とされています。
欠勤ルールを作るときの注意点
診断書は「何日以上なら必要か」を会社で決める
厚生労働省のモデル就業規則では、欠勤などをする場合の事前申出と会社の承認を例示したうえで、医師の診断書を何日以上の欠勤で提出させるかは各事業場で決める事項と説明しています。毎回その場で判断を変えず、必要性、提出時期、費用の扱い、個人情報の保管方法まで会社の規程に合わせてください。
急な欠勤と、年次有給休暇の申請を同じ扱いにしない
厚生労働省は、正社員・パートタイム・シフト制などの区分にかかわらず、要件を満たす労働者には年次有給休暇が付与されると案内しています。年休の申請、当日の急病、確定済みシフトの変更について、それぞれ入口と確認方法を分けてください。
繰り返す欠勤は、当日の応援募集と別に面談する
当日のグループ連絡で注意や評価を行うと、必要な欠員情報が埋もれます。事実を記録し、本人が落ち着いて話せる場で、健康・家庭・勤務条件・業務上の困りごとを必要な範囲で確認します。対応は就業規則と会社方針に沿い、個別判断が必要な場合は労務の専門家へ相談してください。
店長用・欠勤対応チェックリスト
- 本人の安全確認を優先した
- 勤務日・時間・持ち場を確認した
- 欠勤理由を必要以上に広く共有していない
- 不足する時間・役割・人数を整理した
- 回答期限を入れた同じ募集文を使った
- 交代者の勤務時間・役割・資格を確認した
- 本人と現場へ確定内容を伝えた
- 最新版のシフト表へ反映した
- 対応結果を決めた場所へ記録した
シフト表の更新後は、LINE・紙・アプリで見間違いを防ぐ共有方法と、人数不足・役割漏れを防ぐ確認順も合わせて使うと、交代後の行き違いを減らせます。
よくある質問
本人に「代わりに入れる人を知っていますか」と聞くのもだめですか?
情報として確認することと、本人が見つけるまで休めない条件にすることは違います。特に年休については、代わり探しを取得条件にしない運用が必要です。本人から候補の提案があっても、勤務条件と変更の最終確認は店舗側で行ってください。
欠勤連絡はLINEだけでもよいですか?
店舗で決めた方法として受け取れ、見落とし時の次の連絡先があるなら運用できます。ただし、個人LINEだけにすると担当者が休みの日に止まります。店舗用アカウントや電話、当日責任者など複数の受け口を決めてください。
代わりが見つからなければ、休む本人に出勤してもらうしかありませんか?
安全や体調を無視した出勤は避けます。配置変更、予約枠・席数・メニュー・営業時間の調整、系列店や他部署への応援相談などを責任者が判断します。安全に営業できない場合の中止基準も事前に決めてください。
スタッフ同士で交代が決まった場合、店長への連絡は不要ですか?
必要です。担当できる仕事、労働時間、休憩、連勤、鍵やレジ権限などを確認してから店舗側が確定し、最新版のシフト表へ反映します。
診断書は1日の欠勤でも必須にできますか?
診断書を求める日数や条件は、事業場の規程として一貫して決める必要があります。必要性、費用、個人情報の扱いも含め、厚生労働省のモデル就業規則や会社の専門家へ確認してください。
日付・時間・持ち場・不足人数を入れるだけ。店長が毎回ゼロから文章を考えず、必要な条件がそろった募集文を作れる無料ツールを、登録なしでお試しいただけます。
無料ツールを試す